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家づくりの相談先ーハウスメーカー・設計事務所・工務店の違い

椅子

家づくりを始めるうえで最初に直面する問題は、「だれ」に相談する??ではないでしょうか。

ここでは、主に家づくりの相談先として挙げられるハウスメーカー、設計事務所、工務店についてメリット・デメリットを交えて整理していきます。

家づくりの入口はどこ?

読書
家づくり、特に注文住宅にあっては様々な相談先がありますが、大きく分けると「ハウスメーカー」、「設計事務所」、「工務店」の3種類に分けることができます。
三者三様に良い点・悪い点がありますので、ご自分またはご家族の構想にあった相談先を選ぶためにも「ハウスメーカー」、「設計事務所」、「工務店」の3つの特徴を十分に理解することが重要です。
相談先の種類によって営業方法、家づくりの進め方が異なりますので、ご自分達のペースにあった相談先を選ぶのも大切なことです。

また、相談先の種類が決まったら今度は具体的な会社の選定をしなければいけませんが、「ハウスメーカー」、「設計事務所」、「工務店」の3種に分けて考えると、各種の特徴を把握しながら個別の会社さんについて検討し易くなります。

文末では、3種類全ての企業に勤めた私が忖度のない意見でまとめさせて頂きます。

ハウスメーカー

建物の設計と施工を一貫して行う会社です。工業化(プレハブ化)または建築資材の一部を規格化することによって、住宅の大量生産が行える企業です。

ここ十数年の戸建注文住宅着工ランキングによると、積水ハウス・一条工務店・ダイワハウス・へーベルハウスさん等が上位争い(人気争い)をしている現状が伺えます。
これら大手のハウスメーカーは住宅展示場に出店されている場合も多いので、一番取っ付き易く着工シェア率もかなりを占めていると思われるかもしれませんが、数値にすると23~26%を行ったり来たりとなっており、意外と少ないシェア率に驚かされます。

また、大手ハウスメーカーに準ずる存在として年間着工棟数100棟を超えるパワービルダーやホームビルダーと言われる企業があります。これらの企業さんは、大手ハウスメーカーと比べ規模の差こそあれ性質的には変わらないため、地域に根差したハウスメーカーと捉えることで一括りに扱う様に考えます。

ハウスメーカーのメリット

商品開発に力が入れられており、最新の建材や設備、工法がどんどん取り入れられています。また、建材は数の優位性を生かして価格と品質を安定させています。

住宅展示場で実際の商品を確認して購入できるため工業製品を「買う」安心感を得られるのもメリットです。

アフターサービスについても、専門部署を設けるなど充実した体制と独自保証制度や定期メンテナンスなどが整っており、会社規模が大きく知名度も高く安定経営を行う企業も多いので将来的にも安心して依頼できるという点もあります。

土地探しや資金相談など、家づくりをあらゆる面からサポートする体制が整っている事も大きな特徴として挙げられます。

ハウスメーカーのデメリット

ハウスメーカーの注文住宅は、数種類の商品群から標準仕様を選び、間取りを自由に設計つつオプション仕様を付加していくセミオーダー式のものが多いです。
せっかくの注文住宅であっても、資材選びの自由度は低くなってしまう可能性もあります。
そのため、デザインや使用したい資材などに強くこだわりのある方の場合にはフルオーダー可能かあらかじめの確認が必須です。

各企業さんにもよりますが、営業担当者、設計担当者、現場担当者など部署ごとに分かれて仕事をおこなうため、異なる部署との打合せにストレスを感じることもあります。

また、開発費や人件費、広告宣伝費が他の2種類よりも多く必要となりますので建築コストも高くなります。


設計事務所(建築家)

自宅北側
建築士が所属する組織のことを設計事務所と言います。
設計事務所は、メインとなる建築士が建築家として運営する個人事務所である場合と、企業に勤める建築士が管理している場合とがあります。建築物の設計は設計事務所だけが許される行為ですので、ハウスメーカーや工務店と言った企業も必ず設計事務所の登録を自治体におこなっているのです。

この項目でお伝えするのは、前者の建築家についてとなります。
相談先3種の中で、唯一人物で家づくりを選べることが最大の特徴です。

設計事務所のメリット

これから進めて行く家づくりの中で唯一、人で選ぶことができるのが設計事務所(建築家)の最大のメリットです。
そして、設計事務所はハウスメーカーや工務店に比べ制約が少ないことも強みの一つです。使用資材や設備機器においても標準仕様を設けていいない場合が多いので、一から完全フルオーダーの注文住宅を建築できるのが魅力となっています。

昨今の情勢を鑑み、機能性についても研究している設計事務所が多いので、デザイン性・性能・心地よさ等を満たした住宅にすることも可能です。

また、ハウスメーカーや工務店では社内ルールや上職判断により避けられるような傾斜地や変形地でも、設計事務所であれば土地の良い点を見つめ検討したうえで、建築に進めることも少なくありません。

さらに、設計と施工が別会社として分離されており工事現場を部外者の目で監督することができるのも設計事務所のみのメリットとなります。

設計事務所のデメリット

標準仕様がないゆえに、打ち合わせの回数が多くなり時間を要することがデメリットになります。

さらに、設計者の個性に充分な信頼を寄せられる場合はある程度のお任せで進めることもできますが、ご自分達で拘りたい気持ちが強い方には一定の決断力が必要になってきます。

また、設計事務所の完成建物見学会は不定期開催が多いので、タイミングが合わなければ実物の建物を見る機会を損ねる可能性もあります。

建築コストが直ぐに確定しないこともデメリットです。仕様や規格が決まっているハウスメーカーとは異なり、毎回内容が異なるため工事金額が設計段階でははっきりしません。
図面を描いてから工務店さんにお見積りをしていただいて初めて正式な金額が分かります。

設計事務所では、建物図面作成に加えて図面通りに現場が施工されているか工事監理を行うことになります。建築費に加えてコストが掛かる点にも注意しておきましょう。
建築費の10%程度(8~15%で地域や有名度によりことなります。)が目安となります。


工務店

大工や基礎業者などの専門工事業者をマネジメントし、工事全体を管理することによって建築工事を行う会社です。
建物の設計と施工を一貫して行う会社が多くデザイン性や性能に特化した企業も多々あります。工務店は多種多様な形態があり今後も更に発展していくと思われます。

ハウスメーカーと設計事務所の中間的な位置取りと考えて差し支えないかと思います。
個人経営から店舗展開している工務店などさまざまな規模の企業があるのも特徴です。

工務店のメリット

商品としての概念がない場合が多くオーダーに対して融通が利きやすいのがメリットです。

自社で設計(外部委託の場合もあり)から施工、アフターサービスまで行いますので余分な管理コストが発生しません。ハウスメーカーよりも会社規模が小さいため人件費・広告費を抑えることができるので、建築コストも抑えられやすい傾向にあります。

また、地元密着であることで地方銀行や地場不動産屋との結びつきが強いのもメリットの一つです。

工務店のデメリット

基本仕様は各社の個性で決まっていることが多いですが、仕様打ち合わせに要する時間はハウスメーカーと比べると増えてしまいます。

また、人気工務店は会社規模に反比例した量の受注量となっていることが多いので、人員不足による待ちの状態や膝を突き合わせてジックリ話を進めることは難しい傾向にあります。

完成をイメージしにくいのもデメリットと言えます。工務店はモデルハウスを所有していないケースも多いので完成見学会やOB様宅見学会を実施されている際はしっかりと活用して下さい。

地方銀行と結びつきが強いのは特徴ですが、ハウスメーカーで提供しているような資金計画や税務面へのサポート対応は期待できないことが多いです。

最後に倒産のリスクです。大手ハウスメーカーが倒産しないという訳ではありませんが、工務店はハウスメーカーに比べて資本規模が小さいのでリスクは上昇してしまいます。


まとめ

ハウスメーカーの家づくりには、保証もしっかりついた工業製品を買う安心感があります。
長年住み続ける家だからメンテナンスや保証について、しっかり対応して欲しい方に向いています。

設計事務所(建築家)との家づくりは、根気とやる気が必要です。
世界に一つだけの我が家を造りたい方、家づくりを楽しみたい方に向きます。

工務店での家づくりは、ある程度は家づくりに拘りたいと言う方に向いています。
沢山ある施工例からご自身、ご家族の雰囲気に合った家を完成形として参考にすることができます。

以上が家づくりの相談先について簡単な説明です。それぞれの相談先による家づくりの違いについては、
次回以降の記事で詳しくお伝えしたいと思います。
相談先によって設計期間や建築期間、実現できることなど注意すべき点は変わってきますので、ご自身やご家族にとって最も適した
家づくりのパートナーをお探し下さい。

これらの点を事前に把握せずにことを進めてしまうと、注文住宅での家づくりを失敗する大きな原因となってしまいます。
納得するご自宅を造るためにも、事前準備をしっかり行いましょう。

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