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本当にリノベーションで大丈夫?

実は安価じゃないリノベーション

古いものを修繕改修しながら住み継いでいくリフォームやリノベーションはとても良い方法です。

増加の一途をたどる空き家の活用方法としてはこの上ない策です。

しかし、エンドユーザーから見える景色はどうなのか?

様々な角度から見てみましょう。

空き家数

国は全国の住宅・土地統計調査を5年ごとに実施しており、住宅数や空き家数を把握しています。

令和5年度に実施予定なので、最新のデータは平成30年のものとなりますが、この時点で空き家数は848万9千戸
と過去最多となり、全国の住宅の13.6%を占めていることが分かりました。

しかし、これらの空き家全てが戸建住宅という訳ではありません。賃貸住宅の空室であったり、別荘なども空き家と
して計上されており、社会問題となっている空き家は848万戸の内41.1%の318万戸。そして、そのうち木造戸建が
220万戸という調査結果となっています。

▶平成30年住宅・土地統計調査ー総務省統計局

リノベーションと新築の比較

自宅を検討するとき、新築にするか中古住宅をリノベーションするか、迷う方も多いのではないでしょうか。
新築、リノベーション、どちらにもメリット・デメリットがありますので、ご自身やご家族の状況によって、
どちらがベターなのかは変わってきます。

以下の点について、比較してみましょう。
・コスト
・省エネ性能
・耐震性能
・実用年数

コスト

好立地の土地は、売りに出される土地も少なかったり、費用面からみても高コストだったりします。
例)土地代2000万円+新築建物2700万円(諸費用込)=4700万円

一方、中古物件では好立地の物件でも、建物の築年数によりますが、上記の金額より低い価格で購入できるはずです。
例)中古物件(土地+建物)2500~3000万円

今回はリノベーションをした場合での比較なので、この中古物件の価格にリノベーションの代金が加算されることになります。
キッチン、ユニットバス、トイレなどを交換した場合は、グレードにもよりますが200~300万円くらいが相場です。
後述しますが、省エネ性や耐震性さらにデザインを変更していくと1000万円以上のコストとなります。
そうすると、3500~4000万円がリノベーションした自宅を手に入れる費用となります。

同規模であればコストを抑えられ、同予算であれば新築よりも広い住まいが選べるはずです。

省エネ性能

新築住宅は、断熱性能や気密性能は大きく向上しており、昔の住宅に比べると快適性は格段によくなっています。
更に、今後の新築建物は省エネ基準への適合が義務化されるので益々省エネ性能は向上していくことになります。

中古物件はというと、断熱性は圧倒的に低く建築年代によっては断熱材が未使用なこともあります。
最新の住宅並みの省エネ性能にするなら、かなりの大規模工事が必要になってきます。
つくり方の問題で、性能アップには限度があるケースも多いので注意が必要です。

耐震性能

新築住宅においても耐震性を選択する時代です。

現行法規の耐震基準(新耐震基準:1981年改正以降)は、震度6強~7程度の地震で倒壊(崩れ落ちない)
ように設定されています。
倒壊しないだけで、その後に継続して使用できるかまでは加味されていません。
それを補う形で規定された尺度が、住宅性能評価制度によって規定された耐震等級です。2023年現在、ランク
は3段階になっており現行法規の基準を耐震等級1とし、等級2で1の1.25倍、等級3で1の1.5倍の建物強度と
なるように定義されています。

その他にも免振システムや制振システムを導入し、地震に備えることも可能となっています。

一方、中古物件では新耐震基準で建築されていても、築年数の経過と共に構造耐力が減少していることが多い
ので補強が必要になってきます。
また、旧耐震基準で建てられていて耐震性が元々低い場合もあるため注意が必要です。
新築建物と同様に免振や制振システムを導入することも可能ですが、元の構造に強度が不足している場合は、
そこからの補修がいるためコストが増していくことになります。

実用年数

少し前までは、住宅の寿命は30年前後とされていました。
全国でもっとも多い木造住宅を、平均30年程度で建て替えているケースが多いことが寿命30年とされた原因です。

そもそも日本の住宅寿命が短いのは、戦後から高度成長期にかけて住宅の質より量を求めた結果です。
量より質を求め始めた近代において新築住宅の寿命が延びていくことは間違いありません。

中古物件においては、築30年前後の住宅をリノベーションするのか、築10年程度の住宅にするのか、
またコストをどの程度かけるかによって大幅に変わってきます。

ライフスタイルの変化や設備環境の老朽化に伴って、その都度適したリノベーションをするか
どこかで建替えるのか、はたまた売却して新たな住まいを求めるのか。

リノベーションを検討する場合は、新築住宅を検討するよりもっと細かいライフプランを組む必要性があるでしょう。

まとめ

以前、中古物件を自己所有された方からリノベーションの相談を受けたことがあります。
築40年で大工の祖父が自分で建築されたそうで、構造や設えはとてもしっかりしていました。

形見の様なモノなので、耐震性や省エネ性能を確保したうえで綺麗にリノベーションしたいとのこと。
図面作成を終え、旧知の工務店から出た見積りが3200万円。
試しにと、同じ形状で新築住宅にした場合の見積りが2700万円。。。

そのお客様は、納得され新築住宅を建てられました。

リノベーションだからコストが下がると思ったら間違いです!
どれだけの性能を確保するのか、ライフプランは詳細に検討してあるか。

リノベーションを行うことは、単に価格が安いというよりも、予算内での立地の選択肢が
広がると捉えたらよいでしょう。

中古物件をリノベーションして住むには、綿密に作戦を練る必要がありそうです。

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